人前で話す時、手が震えて声が上ずってしまう、ーそんな経験はありませんか?
私も社会人になってからずっと発表下手でした。
早口すぎる、滑舌が悪いなど人前で馬鹿にされて悔しい思いをしたこともあります。
部署にかかってくる電話の対応もろくにできない状況でした。
しかし、今では40〜50人の前で発表し、社内コンクールで表彰されるまでに克服することができました。
この記事では、発表が苦手だった私がどうやって人前で話せるようになったのか、その過程を正直にお話ししたいと思います。
苦手だった毎日の朝礼スピーチ

私の部署では朝礼でその日の新聞記事について、簡単にスピーチする時間がありました。
新聞に書かれている内容から会社の事業と繋げて自分の意見を述べるという内容です。
2〜3分程度の短い時間のはずなのに、何度練習しても全くうまく話せません。
台本がないと不安でしょうがなくて、少しでも話が逸れると頭が真っ白になり、自分でも何を言ってるのか分からなくなりました。
また、電話対応も本当に苦手でした。
若手だったので電話を取る回数は多かったのですが、緊張してしまい「もう少しゆっくり喋って」と上司からも注意される始末。
周りから冷たい視線を浴びるなど、とても悲惨な状況でした。
苦手だと感じるのは相手の反応がわからないから

「今日も上手く話せなかったな」と落ち込んでから1日が始まるようになり、こんな自分を変えたいと思うようになりました。
友達や同期の前では問題なく話せるのに、なぜ電話や発表では緊張して喋れなくなるのだろう。
自分なりに原因を考えてみると次のことがわかりました。
- 電話では相手がどんな人か分からないのが不安
- 朝礼は毎朝オンラインで行っており、周りの顔が見えない
つまり、「相手の反応が見えない時」に一番緊張していたことが分かりました。
相手の表情や聞いている時の仕草が分からないと「本当に伝わっているのかな」と不安になり、気づけばどんどん早口になっていきました。
そこで私は少しずつ人前で話す習慣をつけていくことを決めました。
人前で話すのが苦手だった私への先輩からの言葉

職場では意識的に会話するようにし、会議では短くてもいいから一言でも発言するようにしました。
しかし、苦手だった発表がいきなり上手くなるわけもありません。
そんな時、ある先輩から「話すときは、自分が伝えたいことより、相手にちゃんと伝わるように話すといいよ」と教わりました。
「早口に全部伝えようとすることって、独りよがりで相手にとって実は失礼だったりするよ。」この言葉を聞いてハッとしたのを覚えています。
これまでの私は「ちゃんと伝えなきゃ」と意識した結果、早口になっていたことに気づきました。
そのことを思い出してからは、相手の反応や表情を見て「ゆっくり、丁寧に話すこと」を心がけるようになりました。
無駄な会議は自分の発表の場に変える

とはいえ、若手のうちは人前で発表する機会がほとんどありません。
大きな会議で話すチャンスもなく、話す相手はいつも同じ部署の人ばかり。
朝礼のスピーチは台本があれば問題なくできるレベルでしたが、苦手な発表が克服できるまでには限界がありました。
「練習したいのに場がないな」と思っていた私はあることを思いつきました。
会社の中にいると、無駄な報告や連絡だけのために会議に参加させられること、ありませんか?
当時の部署には、メンバーに今月の実績や来月の目標を報告させる退屈な会議が多くありました。
普段は自分の予定を淡々と報告するだけの場でしたが、その時間を「自分がやりたいことを発表する場」に変えてみたんです。
私はデザインを考えるのが好きで、PowerPointの資料作成や会社の情報を収集することが得意でした。
そこで、競合他社の情報だったり、話題になっている業界のニュース、改善のアイディアなどを自分から勝手に議題に挙げて、10分ほどの時間をもらい、発表することにしました。
月に1回だけでしたが、発表までに十分に準備を重ねて、たとえ上手くいかなくてもまた次回に切り替えて挑戦することにしました。
達成感と周りに起きた変化

最初は「また何か言ってるな」と確かに思われていたかもしれません。
今までの会議で管理していた気になっていた上司からの反応は冷たいものでした。
でも、続けているうちに、同僚から質問が増えたり、上司から興味を持ってくれたりするようになりました。
また、今まで無駄だった会議や部署の習慣に周りの先輩たちが気づいてくれたのか、自然とそうした時間もなくなり、生産的な仕事に取り組むようになりました。
何より自分の中で大きく変わったのは、人前で話すことが怖くなくなったという実感です。
小さな会議でも自分で話す時間を積み重ねることで、いつの間にか「発表=緊張する時間」ではなく、「自分を成長させる時間」になっていきました。
人前に立って発表することの効果

今は部署を移り、20代前半の若手が多いチームで働いています。
一緒に仕事をしていて感じるのは、今の若手は人前で話す機会がとても少ないと言うこと。
いいアイディアを持っていて人間性も面白いのに、それが周りの上司に伝わっていないのが本当にもったいない。
人前で話すことは「人から見られること」と同じなので自然と身だしなみに気を使ったり、きっと心にも身体にも良い影響を与えるはず。
なので、今は若手がどんどん意見を言える空気作りを意識しています。
SNSが発達した昨今では、顔と名前を晒して人前で発言することは今まで以上に勇気がいることなのかもしれません。
発表が苦手でも自分の言葉で語れるようになる瞬間を応援してあげることが私の夢になっています。
苦手だったことがいつの間にか自分の強みになる

つい先日、社内のコンクールで40〜50人の前で発表する機会がありました。
緊張しなかったかと言われると嘘になりますが、堂々と発表することができたと思います。
本番までに1週間ほどの時間を使って5回〜10回ほど通して発表の練習をしました。
練習では、若手の社員に協力してもらい、実際に自分の発表を聞いてもらって、伝わりにくい点はなかったか、もっと良い表現はないか、相手の反応を見ながら考えました。
「相手にとって伝わりやすいか」が何よりも大切なポイントなのです。
社内のコンクールは無事に終わり、私の発表内容は全国で表彰されました。
「発表すごく良かったよ」、「堂々と発表してたよ」と周りから言われた時は、今までに感じたことがない達成感がありました。
「相手に伝わりやすいか」を意識して発表した結果、周りから評価されたことはまさに、苦手が強みになった瞬間でした。
まとめ
発表が苦手だった私でも少しずつ「発表する場数」を増やすことで変わることができました。
どんなに小さな挑戦でも積み重ねていけば、やがて周りに伝わる喜びを感じられるはずです。
苦手が自分の強みになるという経験が、誰かの背中を押すきっかけになれば嬉しいです。

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